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豪中銀、ホールセールCBDC優先へ方針転換 稗田利明

豪中銀、ホールセールCBDC優先へ方針転換

こんにちは、稗田利明です!

 

オーストラリア準備銀行(RBA)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発において、リテール向けよりもホールセール向けを優先する方針を発表した[1][2]。この決定は、ホールセール市場向けCBDCがリテール市場向けCBDCよりも経済的効果が大きいと判断されたことによる[1]。

## プロジェクト・アケイシアの始動

RBAと財務省は、「プロジェクト・アケイシア」と呼ばれる3年間のデジタル通貨作業計画を開始した[1]。このプロジェクトは、トークン化されたマネーと新たな決済インフラを通じて、ホールセール市場の効率性、透明性、強靭性を向上させることに重点を置いている[1]。

## ホールセールCBDCの利点

ホールセール市場向けCBDCがもたらす効果には、以下のようなものが挙げられる:

1. カウンターパーティーリスクと運営リスクの軽減
2. 透明性と監査能力の向上
3. 金融機関と顧客にとってのコストの軽減[1]

## リテールCBDCの今後

RBAと財務省は、リテール市場向けCBDCについても引き続き検討を続ける方針だ[1]。2025年には何らかの形で公開エンゲージメントを行い、2027年には追加の報告書を発表する予定である[4]。リテールCBDCが採択された場合、政府が導入の是非を決定する必要があり、法改正も必要になる可能性がある[1]。

## 国際的な動向

国際決済銀行(BIS)の調査によると、G20のすべての国を含む世界各国がCBDCを検討していることが明らかになっている[5]。オーストラリアの決定は、こうした国際的な動向の中で注目される動きとなっている。

## 今後の展望

RBAの金融システム担当副総裁であるブラッド・ジョーンズ氏は、業界と協力してホールセールCBDCとトークン化された商業銀行預金の新しいプロジェクトを立ち上げることが最も差し迫った優先事項だと述べている[5]。今後は、トークン化された市場における新しい台帳の仕組みや「プログラマビリティ」「アトミック・セトルメント」といった概念が、オーストラリアの金融システムや経済全体にどのような利益をもたらす可能性があるかを理解することに焦点が当てられる[5]。

この決定は、オーストラリアのデジタル通貨戦略に大きな影響を与えると同時に、他国のCBDC開発にも影響を及ぼす可能性がある。今後の展開が注目される。

Citations:
[1] https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/JYACNCBBCFPIVDNL7IAMKB6WMA-2024-09-18/
[2] https://www.coindeskjapan.com/252034/
[3] https://www.neweconomy.jp/posts/418414
[4] https://news.yahoo.co.jp/articles/8e5b4c5c383daeab0c8969e3786d2f411ea7f74d
[5] https://news.yahoo.co.jp/articles/834889ec2e3d94eb4ee664f0276da6d6f98f2fbd
[6] https://www.binance.com/ja/square/post/2024-09-18-cbdc-cbdc-13690510081601
[7] https://www.bitget.com/ja/news/detail/12560604213826
[8] https://news.goo.ne.jp/article/reuters/world/reuters-20240918048.html