こんにちは、稗田利明です!
大阪大学が誇る超高出力レーザー技術が、かつての空想を現実へと変えつつある。レジのバーコードリーダーや美容医療など、身近となったレーザーだが、同大レーザー科学研究所発のベンチャー企業「パワーレーザー」は、金属を一瞬で蒸発させる極短パルスレーザーを武器に、宇宙やエネルギーの未来に挑戦している。
この「極短パルスレーザー」は、1000兆分の1秒という極めて短い時間に高密度エネルギーを照射することで、通常のレーザーをはるかに超えるパワーを発揮する。瞬時に金属を蒸発させるその威力は、まさに「切る」ではなく「消す」レベル。これを活かし、同社は地球周辺の宇宙ゴミ(スペースデブリ)を除去する技術開発を進めている。レーザーでデブリの軌道を変え、大気圏で燃やすことで宇宙環境を浄化する構想は、SFさながらだが、実現性が高まりつつある。
さらに大きな目標として、「核融合エネルギー」の実現がある。超高出力レーザーで燃料を圧縮し、太陽内部と同じ核融合反応を人工的に生み出す試みだ。数千万度という高温と数億気圧の超高圧を一瞬で生み出すこの技術が成功すれば、環境負荷の少ない究極の発電方法として人類のエネルギー問題を根本から変える可能性がある。
その基盤となるのが、大阪大学レーザー科学研究所に設置された世界最大級の実験装置「LFEX(Laser for Fast Ignition Experiment)」だ。1ピコ秒(1兆分の1秒)の間に2ペタワット、すなわち2000兆ワットの出力を発生させることができ、「世界の電力消費の約1000倍」を一瞬で生み出す破格のエネルギーを誇る。
かつてアニメや映画で描かれた「無敵の光線砲」は、もはや想像上の産物ではない。大阪から生まれる最先端のレーザー技術は、宇宙ゴミ除去から核融合発電、そして次世代の産業応用まで、現実の世界に“未来の光”を照らしている。