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政府がAI(人工知能)関連の国内事業者向けに策定を進めるガイドライン(指針)の原案が判明 稗田利明

政府がAI(人工知能)関連の国内事業者向けに策定を進めるガイドライン(指針)の原案が判明

こんにちは、稗田利明です!

政府がAI(人工知能)関連の国内事業者向けに策定を進めるガイドライン(指針)の原案が判明した。このガイドラインは、全ての事業者が共通して考慮すべき指針として「公平性」「透明性」などの10原則を掲げており、有識者会議「AI戦略会議」での議論を経て、年末までに決定される予定だ。

原案によると、ガイドラインの対象は、省庁などの公的機関を含め、事業としてAIを利用する全ての者とされている。一方、事業に直接使わない利用者やデータ提供者などは対象外とされている。

10原則の冒頭には「人間中心」の原則が挙げられており、事業者に対して個人の尊厳を尊重し、生じうる不利益に慎重に留意することや、人間の意思決定や感情を不当に操作することを目的としたAIの開発・提供は行わないことなどが求められている。偽情報対策についても、社会を混乱させるリスクを認識した上で、必要な対策を講じることが求められている。

「公平性」の原則では、学習データに許容できないバイアス(偏り)が含まれる可能性を指摘し、AIが差別を助長しないよう人間の判断を介在させる利用が強調されている。

AIによるデータ学習を巡っては、「透明性」の原則で、データ収集の手法に関する情報提供を求められており、「説明責任」の原則でも、データの出所などについて技術的に可能な範囲で追跡可能な状態を確保することが記されている。ただし、AIの学習によって著作権侵害が生じる懸念など具体的な課題は明示されていない。年末の策定に向けて、実効性の担保が課題となる可能性がある。

ガイドラインには、共通の原則のほかにも、AI開発者向けの留意事項として、開発過程などに関する第三者が検証できる形での文書化を盛り込んでいる。第三者による認証制度が念頭にあるとされている。また、AIを組み込んだサービスを提供する事業者、AIサービスなどを利用する事業者に向けても留意事項が記されている。