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AI需要が牽引する大容量SSD進化の最前線 稗田利明

AI需要が牽引する大容量SSD進化の最前線

こんにちは、稗田利明です!

AI技術の進化がストレージ業界を根底から変えている。学習データやモデル規模の急膨張に対応するため、SSDはこれまでにない大容量化を遂げつつある。2024年以降、キオクシア、Micron、Samsung、SK hynix、Western Digital(2025年にSandiskとして分社化)など各社が、128TBから将来的には1PB級に達するSSDの開発を競っている。これを支えるのは、セルあたり4bitを格納するQLC(クアッドレベルセル)方式のNAND型フラッシュメモリ技術だ。

AIの学習処理では帯域幅よりも「巨大データを高速かつ低遅延で扱う能力」が重視されるため、HDDからSSDへの移行が進む。特にハイパースケーラー企業は、省スペース・省電力・冷却効率の観点からもSSD導入を加速。Meta Platformsは2025年3月の報告書で、HDDとQLC SSDを比較し、アクセス頻度に応じたストレージ階層化を提案した。TLC方式SSD(高速層)とHDD(低速層)の間にQLC方式SSDを中間層として設けることで、コスト・性能・電力効率の最適化を図るという。

大容量化は物理的にも進歩しており、2Tbitのフラッシュチップを32層に積む「32ダイスタック」構造で100TB超級SSDを小型筐体に実装できるようになった。現在主流の「8ダイスタック」でも、企業向けフォームファクター「EDSFF E1.L」で十分な拡張性を確保できる。SSDの容量は1〜2年ごとに倍増する見通しだが、AIモデルの規模拡大はその数百倍の速さで進行している。結果として、開発者はストレージコストと電力使用量の増大を抑えるため、AIモデルの効率化とストレージ技術の両面で革新を求められている。

こうした潮流の中で、SSDは単なる補助記憶装置から、AIインフラの中核を担う戦略的要素へと進化している。