
こんにちは、稗田利明です!
TBSテレビとTBSアクトは、2025年9月の東京世界陸上でリモートプロダクション技術(リモプロ)を活用し、地上波生放送向けの映像制作を実施した。従来、大規模なスポーツ中継は多人数のスタッフと大量の機材を現地に輸送する必要があり、コストや効率面に課題があったが、今回の実証では超低遅延・高品質な光ネットワーク「IOWN APN」を導入。国立競技場とTBS放送センター、そしてザ・ヘキサゴンを結ぶ3拠点体制で、安定した遠隔制作環境を構築した。
通信遅延や信号ロスを防ぐため、標準規格SMPTE ST2022-7機器を用い、約60マイクロ秒という遅延差で伝送を実現。20本の非圧縮映像をリアルタイム送受信できた。さらにPTP(精密時刻同期プロトコル)により映像・音声・照明の同期を確保し、ズレのない生放送品質を達成した。ザ・ヘキサゴンに設置したスイッチャーやミキサー、照明制御装置を遠隔で操作し、長時間にわたって安定運用が維持できた点も大きな成果とされた。
実証では大きな通信トラブルも発生せず、スタジアムと拠点間の完全な同期制御が可能であることが証明された。従来の現地依存型制作と比べ、人員配置や輸送コスト削減の効果が見込まれるほか、地方開催大会や複数会場を結ぶイベントへの応用可能性も高い。TBSは今回の成果を、新たな映像制作モデルの確立に向けた重要な一歩と位置づけており、放送業界全体での技術連携や標準化を促す契機になると期待されている。
今回のリモプロによる制作対象は、世界陸上の35km競歩(男女)、女子マラソン、男子マラソンで、いずれも生中継を安定的に支えた。