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営業秘密漏えい急増と生成AI利用実態 稗田利明

営業秘密漏えい急増と生成AI利用実態

こんにちは、稗田利明です!

独立行政法人情報処理推進機構IPA)は、国内企業における営業秘密管理の現状をまとめた「企業における営業秘密管理に関する実態調査2024」の結果を公表した。調査は2025年1月に実施され、情報セキュリティに関わる企業担当者1,200人が回答している。今回の調査では、過去5年以内に営業秘密の漏えい事例を認識している企業の割合が35.5%に達し、2020年度調査の5.2%から大幅に増加したことが明らかとなった。

漏えいの主要な原因としては、サイバー攻撃が最も多く36.6%を占め、2020年度の8.0%から顕著に拡大している。さらに、内部不正や従業員によるルール不徹底、金銭目的の不正行為、さらには誤操作による情報漏えいも依然として高い割合を示しており、技術的対策と同時に組織内の規範徹底が一層求められていることが浮き彫りになった。

また、急速に普及する生成AIの業務利用に関しても調査が行われた。秘密情報を誤って入力してしまうリスクが懸念される中で、AI利用に関するルールを定めている企業は全体の52.0%にとどまり、まだ半数程度に過ぎない。そのうち利用が明確に認められている企業は25.8%、逆に禁止している企業は26.2%であり、対応が分かれていることが分かる。利用を認めている企業の中では「公開可能な情報のみ入力可」とする制限を設けるケースが多く、また生成AIを閉じた環境で使用し、秘密情報も扱えるようにする運用も一定数確認された。一方、利用を禁止する企業では、システム的に生成AIを遮断する手段を取るケースも報告されている。

IPAは今回の結果を踏まえ、営業秘密の保護は企業競争力に直結する重要課題であり、生成AIについても適切なルール整備と安全な運用を進めることが企業の成長に不可欠であると指摘している。企業は外部攻撃と内部不正の双方に備えるとともに、新技術の利活用においても「利便性とリスク管理の両立」が一層問われているといえる。