こんにちは、稗田利明です!
米財務省借入諮問委員会(TBAC)が、トークン化国債とステーブルコインに関する見解を公表しました。この委員会は、シティグループやゴールドマン・サックスなどの大手金融機関の幹部で構成され、米国債管理の指針を提供する重要な役割を担っています。
レポートでは、トークン化が金融資産に大きな可能性をもたらすと指摘しています。特に、即時かつ透明性の高い決済と清算により、決済失敗のリスクを削減できる点を強調しています。米国債市場のような巨大な市場では、わずかな改善でも大きな影響を与える可能性があるとしています。
しかし、同時に慎重なアプローチの必要性も指摘しています。トークン化の進展には、信頼できる中央当局の主導と、民間部門の幅広い支持が必要だと結論づけています。また、パーミッションド(許可型)ブロックチェーンの開発が必要になる可能性も示唆しています。
ステーブルコインについては、短期米国債を担保として保有する傾向が強まっていると指摘。特に、テザー(Tether)社のUSDTのような大規模ステーブルコインが崩壊した場合、米国債の「投げ売り」につながる可能性があると警告しています。この潜在的リスクに対処するため、狭義の銀行やマネー・マーケット・ファンドと同様の規制が必要になる可能性があるとしています。
さらに、委員会はステーブルコインに代わる存在として中央銀行デジタル通貨(CBDC)の可能性も示唆しています。ただし、米国におけるCBDCの政治的な実現可能性は短期的には不透明だとしています。
全体として、レポートは現実資産(RWA)市場におけるトークン化が新たな経済的仕組みを生み出す可能性を認めつつ、短期国債のトークン化が銀行システムを混乱させる可能性があることも指摘しています。
このレポートは、伝統的金融業界がブロックチェーン技術の可能性を認識しつつ、その導入には慎重なアプローチと適切な規制が必要だと考えていることを示しています。
Citations:
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[5] https://en.cryptonomist.ch/2024/10/07/usdt-news-the-stablecoin-of-tether-risks-delisting/
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[7] https://switchere.com/guides/is-usdt-safe
[8] https://www.reuters.com/technology/tethers-100-bln-stokes-stablecoin-stability-concerns-2024-03-05/