こんにちは、稗田利明です!
2024年5月、日本の広範囲でオーロラが観測され、その理由が国立極地研究所の研究により明らかになった。通常、オーロラは高緯度地域でしか見られないが、この時は兵庫県など低緯度地域でも観測された。研究結果によると、この現象の主な要因は、オーロラが異常に高い高度で発生したことだった[1]。
研究チームは、一般市民から提供された多数のオーロラ写真を分析した。179地点で撮影された写真からオーロラ上端の仰角を算出し、ベイズ推定を用いて解析を行った。その結果、このオーロラの上端の高さが1000km以上に達していた可能性が高いことが判明した。通常のオーロラの最大高度が約600kmであることを考えると、これは極めて異例の現象だった[1]。
この高高度オーロラの発生は、5月7日頃から頻発した大規模な太陽フレアに起因する。5月11日に発生した巨大磁気嵐がこの現象をもたらした。国立極地研究所の片岡龍峰准教授がSNSを通じて撮影を呼びかけたことで、全国から多くのオーロラ写真が集まり、詳細な分析が可能になった[1]。
さらに、この時のオーロラの色彩も特徴的だった。通常の磁気嵐時に見られる「赤」ではなく、「マゼンタ(赤紫)」色を呈していた。研究グループは、この色の違いについて興味深い説明を提供している。5月の時点では、地上が夜であっても高高度は日射を受けており、太陽光の共鳴散乱によって窒素分子イオンの散乱色である青色が加わったためだと考えられる。通常、窒素分子イオンは1000km以上の高度には存在しないが、磁気嵐による大気の加熱で上昇したと推測されている[1]。
この研究は、シチズンサイエンス(市民科学)の重要性を示す好例となった。一般市民から提供された多数の写真が、この稀有な現象の解明に大きく貢献した。研究チームは、今後もこのような協力的な研究活動によって、オーロラ観測や磁気嵐の実態解明がさらに進展することを期待している[1]。
この研究成果は、2024年10月28日付で科学誌「Scientific Reports」に掲載された。今回の発見は、地球周辺の宇宙環境と大気現象の理解を深める上で重要な貢献をしたと言える。また、一般市民の科学への参加が、このような重要な発見につながる可能性を示した点でも意義深い[1]。
Citations:
[1] https://www.itmedia.co.jp/news/amp/2410/31/news217.html
[2] https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13575_aurora
[3] https://mainichi.jp/articles/20240511/k00/00m/040/251000c
[4] https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13723_aurora
[5] https://news.mynavi.jp/techplus/article/20241101-3057281/
[6] https://www.bosai.yomiuri.co.jp/article/13716
[7] https://www.nipr.ac.jp/info2024/20241031.html
[8] https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2410/31/news217.html