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検索連動型AI、著作権侵害の懸念 稗田利明

検索連動型AI、著作権侵害の懸念

こんにちは、稗田利明です!

日本新聞協会は、グーグルやマイクロソフトなどが提供する検索連動型生成AIサービスについて、著作権侵害の可能性が高いとする声明を発表しました[2][3][4]。このサービスは、ユーザーの入力に対してAIが複数の関連サイトを参照し、要約や加工を行った文章を回答として表示するものです[2][4]。

新聞協会は、このサービスが報道コンテンツを無断で利用し、元の記事に類似した回答を表示することが多いと指摘しています[1][2][3]。これは、報道機関が多大な労力とコストをかけて作成した知的財産を不当に利用することになり、「タダ乗り」であると批判しています[3]。

さらに、検索連動型AIが記事を不適切に転用・加工することで、事実関係に誤りのある回答を生成する可能性があることも懸念されています[2][3]。これは、ユーザーに不利益をもたらすだけでなく、参照元として表示される報道機関の信頼性を損なう恐れがあります[3]。

新聞協会は、生成AIサービスを提供する事業者に対し、報道コンテンツを利用する際には著作権者の許諾を得ること、また正確性と信頼性を十分に確保してからサービスを提供するよう求めています[3][4]。同時に、政府に対しては著作権法の改正を含む「生成AI時代」に適した法制度の整備を急ぐよう要請しています[3][4]。

この問題は、著作権法の「軽微利用」規定(第47条の5)の解釈にも関わっています[3]。新聞協会は、検索連動型AIサービスが提供する内容は「軽微な利用」とは言えないと主張しています[4]。

また、ユーザーが参照元のサイトを閲覧しない「ゼロクリックサーチ」の増加により、報道機関に不利益が生じる可能性も指摘されています[2]。これは、報道機関の取材活動を弱体化させ、結果として民主主義や文化に損失をもたらす可能性があるとしています[2]。

一方、グーグルの広報担当者は、生成AIによる検索サービスは日本の著作権法を含む法令を順守していると主張しています[5]。また、グーグルのサービスは質の高いニュースへのアクセスを可能にし、日本の報道機関と長期的な協力関係を築いていると述べています[5]。

この問題は、急速に発展するAI技術と既存の法制度との間のギャップを浮き彫りにしており、今後の議論と法整備の動向が注目されます。

Citations:
[1] https://news.yahoo.co.jp/articles/7ec1d65034d11ee1612cef3cf19cf0ff276e76f7
[2] https://nordot.app/1186216542997151833
[3] https://www.pressnet.or.jp/statement/broadcasting/240717_15523.html
[4] https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=154&ng=DGXZQOUE083250Y4A700C2000000
[5] https://www.sankei.com/article/20240717-CQQDHR42HFKX7IKL5MXPBMWV64/