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デロイト トーマツが多機能RAGアプリを開発 稗田利明

デロイト トーマツが多機能RAGアプリを開発

こんにちは、稗田利明です!

 

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社は、企業の独自データを生成AIで活用するための多機能RAGアプリケーションを開発しました[1][2]。このアプリは、大規模言語モデル(LLM)に企業のデータベースを接続するRAG(Retrieval Augmented Generation)の利便性と精度を向上させる複数の技術を搭載しています[1][2]。

RAGは企業内の既存知識やデータを活用する上で有用ですが、ビジネスでの利用には技術的な課題がありました[1][2]。例えば、大量のドキュメントから必要な情報を検索できない、視覚的情報を読み取れない、複合的な質問に回答できない、自社独自の用語を理解できないなどの問題がありました[1][2]。

デロイト トーマツは、これらの課題に対応するため、様々な生成AIプロジェクトで培った技術ノウハウを集約し、多機能RAGアプリを開発しました[1][2]。このアプリには、検索精度向上、LLMの回答分野拡張、回答精度向上のための機能が搭載されています[1][2]。

検索精度向上のための機能には、「サブクエリ検索」と「2段階検索」があります[1][2]。サブクエリ検索は複雑な質問をシンプルな質問に分解し、複数回の検索を経て回答を生成します[1][2]。2段階検索は、最初に複数のドキュメントを検索して選別した後、特定ドキュメントに絞ったチャンク単位での検索を行います[1][2]。

LLMの回答分野拡張のための機能には、「マルチモーダル」と「独自用語集」があります[1][2]。マルチモーダルは、テキストだけでなくグラフやチャートなどの視覚的情報も読み取ることができます[1][2]。独自用語集は、業界や自社特有の用語の定義を登録し、その定義を踏まえた回答を生成します[1][2]。

回答精度向上のための機能には、「回答キャッシュ」と「FAQ回答」があります[1][2]。回答キャッシュは、評価の高い回答を優先的に表示するために一次保存し、検索を経ずに回答を生成します[1][2]。FAQ回答は、管理者が登録したFAQデータをもとに回答を生成します[1][2]。

さらに、多機能RAGアプリには「インデックス作成ツール」が付属しており、検索用データの作成時に検索精度を向上させるための様々なメタデータを付与し、マルチモーダルに対応したインデックス作成機能を実装しています[1][2]。これにより、ドキュメントを投入するだけで多機能RAGに対応したインデックスデータを作成できます[1][2]。

操作画面では、回答の根拠となった引用箇所や、より詳細な質問を促すフォローアップ質問が表示されます[1][2]。また、各機能のON/OFF設定を切り替えることができます[1][2]。

デロイト トーマツコンサルタントとエンジニアは、このアプリをクライアントのニーズに合わせた生成AIの実装に活用し、RAGに関する開発期間の短縮と品質向上を支援します[1][2]。この多機能RAGアプリの開発により、企業は独自のデータを生成AIを通じてより効果的に利活用できるようになることが期待されます。

Citations:
[1] https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20240708.html
[2] https://kahoku.news/release/dpr91234.html
[3] https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20240404.html
[4] https://www.afpbb.com/articles/-/3527995?cx_part=top_category&cx_position=2
[5] https://digitalpr.jp/r/86194